監修:松本 勝利(KMY店長)
子どものころからカブトムシ・クワガタが大好きで、ブリーダー歴35年。パチンコ店の店長を経て、2026年に独立しました。奈良県桜井市のファームで、ヘラクレスやニジイロを育てています。くわしいプロフィール
ヘラクレスオオカブトは、いくつかのポイントを守れば、初めてでも幼虫から成虫まで育てられます。大事なのは「温度」と「マット」と「容器の大きさ」の3つです。
この記事は、奈良県桜井市のファームでヘラクレスを自家繁殖しているKMYが書いています。ファームで実際にやっている方法を、そのまま紹介します。
ヘラクレスオオカブトはどんな虫?
ヘラクレスオオカブトは中南米にすむ、世界最大級のカブトムシです。オスの長い角と、黄色っぽい上羽(うわばね)が特徴です。
いくつかの亜種(すむ場所ごとのグループ)があり、日本でよく飼われているのが「DH(ディナステス・ヘラクレス・ヘラクレス)」です。KMYのファームでも、グアドループ産のDHを中心に育てています。
ファームで羽化するオスは140mm〜155mmくらいが多く、これまでで一番大きかったオスは170mmです。
| 主な亜種 | DHヘラクレス、リッキー、レイディ、エクアトリアヌスなど |
|---|---|
| ファームの羽化個体の例 | ♂164.0mm・♀66.0mm(グアドループ産 CBF1、2026年7月羽化) |
| 幼虫から成虫までの期間 | 1年6か月〜3年(大型のカブトムシの目安) |
| 成虫の寿命 | 1年前後 |
| 飼育の難しさ | 温度管理ができれば、初めてでも飼える |
用意するもの
成虫を飼うには、次の5つを用意します。
| 用意するもの | 選ぶときのポイント |
|---|---|
| 飼育ケース | オスの角がぶつからない大きさ。KMYのファームでは、成虫は小ケースで飼っています |
| マット | ケースの底に敷く土。ファームの幼虫には、ヤマイネさんのカブトマット(オリジナルの添加剤入り)や、MDカブトマット プロEXを使っています |
| 昆虫ゼリー | 成虫のエサ。食べる量が多いので、まとめ買いすると楽です |
| 止まり木・落ち葉 | ひっくり返ったときに、つかまって起き上がるために使います |
| 温度計 | 温度管理がいちばん大事なので、必ず置きます |
KMYのショップでは、飼育ケース、マット、昆虫ゼリーをそろえています。
成虫の飼い方
温度:いちばん大事なポイント
ヘラクレスは暖かい場所の虫なので、日本の夏の暑さも冬の寒さも苦手です。KMYのファームでは、エアコンとサーキュレーター(空気を回す扇風機)で、夏は22〜24℃、冬は20〜22℃に保っています。
- 夏:エアコンで22〜24℃くらいに保つ
- 冬:エアコンで20〜22℃くらいに保つ。サーキュレーターで空気を回して、温度のムラをなくす
- 直射日光の当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所には置かない
エサ
エサは昆虫ゼリーを与えます。食べ残しや空のカップは、コバエやダニの原因になるので早めに交換します。羽化してすぐの成虫は、しばらくエサを食べません。羽化してから1〜3か月ほどで食べ始めます。
ケースの中の環境
- オス同士はケンカするので、1匹ずつ分けて飼う
- マットが乾いたら、霧吹きで軽く湿らせる
- 止まり木を入れて、ひっくり返っても起き上がれるようにする
幼虫の飼い方
幼虫は「1頭ずつ分ける」「成長に合わせて容器を大きくする」「マットを定期的に交換する」の3つで、大きく育ちます。
成長に合わせた容器とマット交換
幼虫は、脱皮するたびに初令・2令・3令と大きくなります。KMYのファームでは、次のような容器で育てています。
| 時期 | 容器(KMYのファーム) |
|---|---|
| 初令 | 430ccのプリンカップ |
| 2令 | 430ccのプリンカップか800ccのボトル |
| 3令 | 1500ccのボトル |
| 3令(オス) | ラクボックスか大ケースに移す |
| 3令(メス) | 最後まで1500ccのボトル |
- マット交換は3か月に1回が基本です。成長の早い時期や季節に合わせて、間隔を変えます
- マットの表面にフン(幼虫のふん)が目立ってきたら、交換の合図です
- 交換するときは、古いマットを少し混ぜると幼虫が落ち着きやすくなります
- ファームでは、150gを超える3令のオスの幼虫も育っています
オスメスの見分け方
カブトムシの幼虫は、3令になるとオスとメスを見分けられます。お腹側にある、将来オスの生殖器になる部分の線を見て判断します。KMYでは「オス確定」の幼虫も出せますが、100%とは言い切れません。限りなく100%に近い精度です。
蛹から羽化まで
3令幼虫の後半になると、幼虫はマットの中に蛹室(ようしつ:蛹になるための部屋)を作ります。ここからは、できるだけ触らないことが大事です。
- 蛹室を作り始めたら、容器を動かさない・開けない
- 蛹室を壊してしまったときは、人工蛹室に移します。KMYのファームでは、マットが傷んだとき(コバエがわいた、水分でべちゃべちゃになったなど)や、ケースの端に蛹室を作って角が曲がりそうなときにも、KMYで販売している人工蛹室を使います
- 羽化しても、すぐには掘り出さず、自分で出てくるまで待ちます
大型のカブトムシは、卵から成虫まで1年6か月〜3年ほどかかります(種類によって変わります)。
よくある失敗
店長によると、初心者がよくつまずくのは、産卵セットのマットの水分量と、詰める強さの加減です。お客さんからは「ペアリングのとき、オスとメスを同じケースに入れますか?」とよく聞かれます。KMYでは同じケースには入れず、人の手でメスの上にオスを乗せて交尾させる「ハンドペアリング」をすすめています。
- 温度が低すぎる・高すぎる:寒いと幼虫が育たず、暑すぎると弱ります。温度計で毎日確認します
- 容器が小さい:幼虫が大きくなれません。特に蛹になる前は、蛹室を作れる広さが必要です
- 蛹室を触ってしまう:気になっても開けずに待ちます。羽化不全(体がうまくできないこと)の原因になります
KMYでヘラクレスを迎えるには
KMYのヘラクレスは、奈良のファームで自家繁殖した個体です。商品ページには、産地・累代(何代目か)・サイズ・羽化日など、一頭ずつの詳細を書いています。
| 商品 | 販売例(2026年10月4日のショップ表示価格) |
|---|---|
| 幼虫 1頭(オスメス判別なし) | 1,400円 |
| 幼虫 ペア | 7,700円 |
| 成虫 ペア | 16,600円〜42,800円(サイズによる) |
| 成虫 ペア(極太) | 36,600円〜38,800円 |
初めてなら、成虫のペアから始めると、すぐに姿を楽しめます。幼虫から育てると、羽化までの成長を見られます。
飼い方でわからないことは、KMYの公式LINEで相談できます。



コメント